2008-03-23

働く気持ちに火をつける ([著]齋藤孝, [版]文春文庫) #2

先週ぐらいかな、通勤の電車の中で読了。

著者が、仕事の柱だと言う「ミッション、パッション、ハイテンション」(p.224)のうち、後の2つはちょっと受け入れにくいけれど、最初の「ミッション」に関しては近頃、似たようなことを考えていただけに心に響くものがある。

梅田望夫が言う「好きを貫く」姿勢にしても、本書で言われる「ミッション感覚」にしても、決して不可能なことを掲げているわけじゃない。改めて言われてみれば当たり前と感じられること。けれど、手が届きそうで届かないことでもある。あとちょっとなのかもしれないけど、まだ足りないものがある。それは何だろう。決意と覚悟、さらには継続の意志。
・・・あらら、「あとちょっと」じゃないっぽい。

心に引っかかったところを引用しておく:

社会の中での自由とは、束縛がないことではない。社会の中で、他者に働きかけていける技を一つでも二つでも持っていること、これが真の自由だ。・・(中略)・・だから、社会との接点が薄い存在でいることは、はっきりいって恐ろしく不自由だと思う。
自分の手で仕事を喜びにし、人生をデザインしていく楽しさを知らないのは、あまりにも惜しい。
(p.20)

この一文がどうにも心に痛い。痛いってことは、そこが弱いところだってこと。いや、まあ、わかっているんだョ。

帯には「スカッと働くコツを伝授!」と書かれているけど、ここに「こつ」やら「技」は書かれていない。少なくとも具体的ですぐにそのまま実行できるようなものはない。著者は教育者(教師)なのだと思う。教育を行う者にとって大事なことは生徒が自分自身で考えるように仕向けることだ。答えを教えることじゃない。だから、この本に答えを期待してはダメ。これは、答えを探そう、という気持ちにしてくれる本。タイトルにある通り、「火をつける」本なのだね。

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