2008-02-27

科学的に説明する技術 -- その仮説は本当に正しいか ([著]福澤一吉, [版]サイエンス・アイ新書) #1

読み出したのは結構前のこと。読みかけで放り出してあった。今週になって通勤の友にしてみた。ほぼ読了。明日からは別の本を連れて行くつもり。 技術とは言うものの、ハウツー本ではない。「科学的に説明する」とはどういうことなのかを「解説」したもの(「説明」と「解説」の違いはp.116〜119あたり)。言わば「科学の定義」。 「科学の方法」([著]中谷宇吉郎, [版]岩波新書)に通じるところがある。 好みとしては「科学の方法」が断然上だけど、本書では「科学を定義する言葉」を知ることができる。たとえば以下のようなもの: 理論(仮定の集まり)を構築するときの条件
  1. 論理性
  2. 包括性
  3. 単純性
「科学の方法」を読み返せば同様の内容があるだろうけど、こういう言葉を使ってはいないだろう。論理や単純はともかくとして「包括」という言葉はなかなか出てこないよね。 軽く読み飛ばせるところを評価すべきか、題材にくらべて歯ごたえのなさを批判すべきか。ここから進んで科学哲学に関する本に行けば良いのだろう。

2008-02-25

ミーム・マシーンとしての私 (上) ([著]スーザン・ブラックモア, [訳]垂水雄二, [版]草思社) #1

買ったきっかけはこのあたりに書いたこと。例によってずっと積ん読の山に埋もれていたのだけど、気が向いたので読み始めた。まだ、ドーキンスの(長めの)序文と1章、2章を読んだだけ。 ミームという概念には(これもまたミームの1つ)興味を引かれているから、読み切りたいところだけど、果たしてどうなるか。

2008-02-22

Human Interface Guidelines: The Apple Desktop Interface (日本語版)

いつ、どこで買ったかが、もはや記憶にないのだけれど、しばらく前から部屋の片隅に置いてあった。

Apple のユーザインタフェースのガイドは、これまで大きく3回改訂されているらしく(→ ネタ元)、これはその最初の版にあたる。第2版というべきもの(タイトルに Macintosh が入った)は手元にはない。最新版(OSX以降)は Xcode に付いてくるドキュメントの一部として読むことができる。

3つの中でも、書籍として出版されていたこの第1版は評価が高いようで、書籍版の復刊を望む声は今もあるらしい。手元にあるのも2004年に出版社を変えて復刊したもの(だと思われる)。

「Apple Desktop Interfaceは、人間が生まれながらに好奇心を持った存在であるということを前提としています。好奇心は学習への欲求と言い替えることができますが、学習効果は自分の置かれている環境に自発的な探究心を持って接した場合に最も高くなると言えます。人間は自分を取りまく環境をコントロールしたいという欲求を持っています。これには、自分の行為に対して掌握感を持とうとすること、そして、その結果を確認し、理解しようとする欲求が含まれます。また、意志の疎通には、言語をはじめ視覚や身振りによる伝達手段が用いられているように、人間は記号や抽象表現に慣れ親しんでいます。そして、条件が揃えば創造的で芸術的な存在ともなり得ます。作業や生活の場がエンジョイで、やりがいに満ちたものであれば、生産性や効率は非常に高くなります。」

以上は、第1章の「設計思想」のある段落だ。今、読んでも感動すら覚える。むしろ、今読むからこそ、だろうか。段落の前半にある人間性への洞察を読むとき、 これが技術文書なのだということ、「プログラミングガイド」に類する文書の一節なのだということを忘れてしまう。そして最後の2つの文。人は条件が揃えば クリエイターにもアーティストにもなれる。そのための「条件」となるようなコンピュータを作って行こう。人は楽しむことで生産性も効率も高くなる。「楽しめる」プログラムを作って行こう。そんな Apple の意気ごみが感じられる。

今、世界のあちこちにあるコンピュータ(Macをふくめて)がそうなっているとは思えないことが残念だ。どこで歪んでしまったのかな (´・ω・`)