2008-10-31

10歳になったGoogle ([著]Googlerたち, [版]Official Google Blog) #6

Wiping out the next smallpox -- Posted by Dr. Larry Brilliant, Google.org (9/23/2008)

There is no Nobel Prize for "Preventing a Pandemic," and the hardest part about working in this field is imagining the unimaginable.

「パンデミック(感染爆発)を防ぐことに対するノーベル賞はない」
それは地味な(それでいて困難な)活動なのだ。

ある病気(伝染病)の治療法や予防法を発見したら、ノーベル賞も夢ではないかもしれない。けれど、「発見した」だけで自動的に世界から病気が消えてなくなるわけではない。病気の根絶は不可能ではないにせよ、人、カネ、物を大量に必要とする活動なのだ。

google.org では、さまざまな技術を駆使して「パンデミック」と闘っていくよ、と。地味(で困難)な活動だからこそ、われわれ(Googleとその賛同者たち)はチャレンジするんだ、という意思が読み取れる。

10歳になったGoogle ([著]Googlerたち, [版]Official Google Blog) #5

The intelligent cloud -- Posted by Alfred Spector, VP Engineering, and Franz Och, Research Scientist (9/18/2008)

It will be used by billions of people and learn from an aggregate of potentially trillions of meaningful interactions per day.

When combined with the creativity, knowledge, and drive inherent in people, this "intelligent cloud" will generate many surprising and significant benefits to mankind.

並列化によりコンピュータの処理能力が向上(50~100倍)すること、より多くの人々が様々な機器によってネットとつながること(新しい機器も登場する)。これにより、空前の処理能力を使って巨大なスケールの情報を扱う「賢い」システムが出現する。さらに、そのシステムは(その能力を使う)人々と相互作用することでさらに「学び」(人が持つ創造性、知識、意思をもデータとして取り込むことができるようになる)、賢さを増していく。といような内容。

一言で言うなら、量から質への転化、ってことなんだけど、どのようにして、その転化が現れるのかを(一例で良いから)書いて欲しいもの。

単純にウェブページを検索できるだけなら役に立たない。PageRankのような「しかけ」を入れることで Google は検索エンジンとして成功した。けれど Google の検索結果を見て「賢い」とは誰も思わないだろう。検索できること、さらにそこそこ有用な結果が返ってくることで「便利になったなあ」とは思うけれども。

何が何と、どうつながっていくと「賢さ」が現れるのだろう?

10歳になったGoogle ([著]Googlerたち, [版]Official Google Blog) #4

The future of online video -- Posted by Chad Hurley, CEO and Co-Founder, YouTube (9/16/2008)

Ten years ago the world of online video was little more than an idea.

Today, there are thousands of different video sites and services.

Today, 13 hours of video are uploaded to YouTube every minute,

In ten years, we believe that online video broadcasting will be the most ubiquitous and accessible form of communication.

10年前、オンラインビデオはごく一部の人だけが使えるものだった。今日では、何千ものビデオサイトができ、YouTube には毎分、13時間分の動画が投稿されるようになった。次の10年では、オンラインビデオが人々のコミュニケーションの中心メディアとなるだろう。

と、そんな内容。短かいから余計に感じるのだけど、読むべき内容はあまりない。なぜこうなったとか、どうしてそうなるというような「中身」がないのだ。

2008-10-27

10歳になったGoogle ([著]Googlerたち, [版]Official Google Blog) #3

The social web: All about the small stuff -- Posted by Joe Kraus, Director of Product Management (9/14/2008)

What makes two friends feel "close" to one another? I'd argue that a big part of it is the small details that you know about each other.

In the coming decade, the web will become as effortlessly social as chatting with your family or roommates at home is today. Social features will be embedded and around and through all variety of spaces and places on the web.

Fast forward ten years, and you'll feel even more at home on the web than you do today - because it will be a pretty good reflection of you.

"近しさ"は小さなコトを知り合うことにある。なぜなら、小さなコトを知ることは、離れていると難しいから。この先の10年で、ウェブには"近しさ"を感じるための仕掛けであふれるようになるだろう。というような内容。

2008-10-16

10歳になったGoogle ([著]Googlerたち, [版]Official Google Blog) #2

The democratization of data -- Posted by Hal Varian, Chief Economist (9/21/2008)

ITは「データの民主化」を可能にした、と。これは平たく言うと、昔は(といっても10年とか15年ぐらい前だけど)、一部の巨大企業だけが収集し、分析し、評価することができた大量のデータを、今では誰でも扱うことができるぞ、ということ。

コンピュータの変遷、とくにマイクロプロセッサとインターネットのそれを見てきた人なら、この「大量のデータを誰でも扱えるようになった(それも手軽に)」という指摘に同意するだろう。その変化の波を一番うまく乗りこなしたのが他でもないGoogleだ。「Googleを支える技術」でその一端が明らかにされたように、Googleの内部では日々、大量の(本当に大量の)データが処理され続けている。われわれはその成果を無料に近いコストで享受している。「Google以後」に成長した世代には、Google(とそれを可能にしたIT)が存在しなかったときに、人がどうやって暮らしていたかが想像できないかもしれない。

で、最後はこう問う;

what can big companies do now that small companies can't currently afford?
今はまだ小さな企業にはできなくて、大企業だけができることにはどんなものがある?

例として挙がっているのは、コンサルタントや専門家を雇うこと、多年にわたるデータに基づいた市場分析(むむむ、自信なし; marketing intelligenceって何?)、宣伝活動をともなう実験、多数の国々で販売活動をすること。これらはいずれITによって「民主化」される、と。でもって、Googleはそれを促進したいんだ、と。

10歳になったGoogle ([著]Googlerたち, [版]Official Google Blog)

先月、Google が10歳になった。以下は、そのときにポストされた一連のエントリ。

Google Reader で☆を付けて放ってあったんだけど、今日、そのうちのいくつかを斜め読み。

改めて、タイトル(と著者)を並べてみると;

10歳になったGoogleが今何を考えているかが、ここから透けて見えるだろうか? ちょっと、読んでみようか(英語なんで短かめの奴から)。

2008-10-05

ハイドゥナン (上/下) ([著]藤崎慎吾, [版]ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

蛍女」が生き物がすべてつながっているんだ〜、という物語だったとすれば、「ハイドゥナン」は地球にあるもの(地球を形づくっているもの)すべてがつながっていたっていいじゃん、というような物語。

記憶が情報の蓄積だというなら、素子(ユニット)の状態の変化によって情報を蓄積できるというなら、そして万物は相互作用によって存在の状態を変化させるというなら、石に記憶があったって不思議じゃない。記憶の集積が人格だというなら、石の集合(である地球)に意識があってもおかしくない。

仮に、石の記憶が幽か(かすか)なものであっても、大きな塊になれば量から質への転化が起きるかもしれない。たとえ、相互作用がとてもゆっくりとしたものであっても、億年という単位でなら意味をつむげるかもしれない。

ここまでは良いんだけど、ここから先、つまり石の記憶、地球の意識が、ヒトという意識を顕在化させた存在と対話できるんじゃないか、となるとちょっと飛躍がある。ここで言う「ヒトの意識の顕在化」っていうのは石や地球のそれにくらべて、単位質量(?)当たりの情報処理量とその速度が文字通り、ケタ違いであるという意味。

地球が意識を持つのは良い、古来一部のヒトはそれを感知することができそれを神と呼んだ、それも良い。けど、その神と言語によってリアルタイム(ヒトの時間感覚)で対話できるというのは、さすがにちょっとファンタジーだ。

神(地球の意識)とその巫女が人々を導くという物語の流れは良いとして、事態を収める剣は「科学」であり、剣を振るうのは神とは交流できない(普通の)人々だと描いてほしかった。けれど、それは人類中心の古い価値観(自然観)なのだろう。

ちなみに、この作品はすでにハヤカワ文庫JAとして文庫化されている(4分冊!)。

2008-10-04

もっとも美しい数学 -- ゲーム理論 ([著]トム・ジーグフリード, [訳]冨永星, [版]文藝春秋) #5

以下、要約のようなメモ。

第三章

  • 二人ゼロ和ゲームについてのノイマンの理論は実生活には応用できなかった。
  • ナッシュは「交渉問題」の研究から、多数のプレーヤーが参加するゲームにおいて、各プレーヤーの利得が最大になるような混合戦略の組が存在することを示した。
    交渉問題
    二人ゼロ和ゲームとちがい、交渉次第でプレーヤー全員が利益を手にする可能性がある。
  • → ナッシュ均衡
  • ナッシュの数学によって、ある社会状況がどのように安定するかが理解できるようになった。
  • ナッシュの数学を使って、ゲーム理論学者たちはさまざまな"ゲーム"を生み出した。
  • → 例: 囚人のジレンマ
    ナッシュの理論によって、"協力する"組み合せが不安定であることがわかる。
  • ナッシュの理論以後、ゲーム理論はさまざまな分野で使われるようになっている。
  • 一番、派手に力を発揮したのが生物学の分野だった。

さらにまとめると・・・潜在的な応用の可能性はともかくとして、実用性に乏しかったそれまでのゲーム理論が、ナッシュの貢献によって実用性が開花した、と。

2008-10-01

iPhone HACKS! ([著]小山龍介, [版]宝島社)

全体は4部(chapter)構成。それぞれのタイトルは以下のとおり。

  • CHAPTER 01: スケジュール ハック! -- 「コントロールとロックンロール」
  • CHAPTER 02: コミュニケーション ハック! -- 「シナプスとパピルス」
  • CHAPTER 03: 情報 ハック! -- 「ログとカタログ」
  • CHAPTER 04: 発想 ハック! -- 「モードとムード」

それぞれの chapter のサブタイトル(というか「」でくくられた部分)が内容を象徴する言葉。筆者によれば「コンセプトをひとことに集約」(p.123)してあるとのこと。韻を踏むペアになっていて覚えやすい。個人的には「ロックンロール」と「パピルス」はピンとこないけど、「ログとカタログ」、「モードとムード」はペアの語呂も良いし、何より言葉とコンセプトが直結している。つまり・・・

(p.178 - 179)
・・・無意識に行っていることも含めてログに残していき、・・・
・・・自分自身の情報を公開するようになると、・・・
・・・まるでカタログを眺めるようにして、さまざまな情報を眺めることができます。
・・・ログを残しながら、同時にそれが誰かにとってのカタログになっていく。

というのが「ログとカタログ」。一方・・・

(p.220)
ここで紹介しているハックは、こうした他人への依存から脱却するテクニックでもあります。自分でモードを設定することで、自分でムードを作っていく。他人に影響されないで、自分で自分の気持ちをコントロールする。

「モードとムード」はこんな感じ。

ここで出ていくる「コントロール」がキーワード。CHAPTER 01 でもスケジュールを作って、その通りに行動するっていうのは「自分で自分自身をコントロールする。自分の時間をコントロールする」(p.66)ことだとある。その直後には、こう書かれている。

(p.66)
それは、他人に流されることなく、自分自身のリズムで生きていくということでもあります。

思えば「ハック」というのは、困難な状況をどうにかするための行動、言い換えれば、自分にとって都合の良いように状況をコントロールするっていうことなんだろう。だから「ライフハック」は人生を自分自身をコントロールすることを意味するのだ。なるほど〜(`・ω・´)