これもRSS講読しているブログで紹介されていた一冊。どこのブログだったかはもうわからなくなってしまった。
Wikipediaによればスーパーコンピュータとは「内部の演算処理速度がその時代の一般的なコンピュータより非常に高速な計算機(コンピュータ)のこと。」となっている。とくに汎用、専用の別はなく、とにかくその時代で一番速いコンピュータたちのことだ。本書で描かれているのは専用の高速計算機の方。天文学における重力シュミレーションに特化した計算機を創る物語。
読みやすいし、当時の熱気みたいなものも伝わってくる。良く書かれたノンフィクションだ。ただ、残念なのは肝心のGRAPEを開発する過程の記述があっさりとしていること。「モノづくり」のおもしろさはディテールにこそ宿るのだと思う。いくつかの写真と回路図だけでは十分に伝わらない。
本書の中盤にあたる第3章から第5章が、タイトルにもある20万円のスーパーコンピュータ、GRAPE-1の開発に関する記述。プロジェクトに関わった人たちの関係や思いが丁寧に描かれているだけに、影の主役であるGRAPEの記述が少ない気がする。費用や期間では単純に評価できない苦労の部分をもっと知りたくなった。
本文にはできなくても、付録という形ならディテールを書けたんじゃないだろうか。開発ノートがあったそうだから、それを再構成するなりして。新書だからムリがあるか。
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