スケールフリーネットワークの実例
11章から14章。
第11章 目覚めつつあるインターネット
スケールフリーネットワークの実例としてのインターネット。その歴史と展望がまとめられている。
(p.226)
パラサイト・コンピューティングはこの設定を利用して、コンピュータには普通に通信をさせておきながら、マスターホストのコマンドに応じてコンピュータに強制的に計算をさせようというアイデアだ。これを実行するために、われわれはある複雑な計算問題を、合法的なインターネットのリクエストに見せかけた。コンピュータがパケットを受け取ると、そのパケットが旅の途中で傷まなかったかどうかをチェックする手続きがとられる。その計算をするうちに、コンピュータはわれわれが与えた数学の問題を解き、それをパケットに暗号化して組み込むのである。
これについては聞いたことがなかった。なんというか「SF」的なアイデアだ。ネットのどこかで創発が生まれていたりするのかも。
第12章 断片化するウェブ
スケールフリーネットワークの実例としてのWWW。単方向リンクが持たらす特性が示されている。
- ネットワーク全体は、四つの大陸に分断されている。
- 全貌を誰も知らない。
- → 検索エンジン(ロボット)が訪ずれるのは 40 % (1999年当時)に過ぎない。
第13章 生命の地図
スケールフリーネットワークの実例としての「細胞内における化学反応」ネットワーク。
- 代謝における化学反応ネットワーク
- → 大多数の生物で、ハブとなる分子(上位10まで)が共通:
- ATP
- ADP
- 水
- → 大多数の生物で、ハブとなる分子(上位10まで)が共通:
- タンパク室の相互作用ネットワーク
これら細胞内のスケールフリーネットワークはどのようにしてできあがったのか?
→ タンパク質のネットワークの場合は、遺伝子コピーの際の遺伝子重複という種類のエラーによって作り上げられたと考えられる。ただ、これが唯一の要因とは限らないし、代謝ネットワークについては、当てはまるかどうか不明。
遺伝子を解読しただけでは生命現象の持つ複雑さ、多様性を説明できない。ネットワークこそがカギとなる。生命の(細胞内の化学反応の)ネットワークを解明することで、ヒトの病気の治療に役立つ。
第14章 ネットワーク経済
スケールフリーネットワークの実例としての「経済(ビジネス)世界で見られる様々なネットワーク」
- (大企業の)取締役会: ハブが存在する。
- → ここで言うハブは、複数の企業の取締役会に属している役員のこと。
- シリコンバレーの従業員ネットワーク
これらビジネスの世界におけるネットワークがスケールフリーネットワークの特性を示すことの事例として以下が挙げられている:
- カスケード故障(cf. p.172): アジア通貨危機
- ウイルス的伝播(第10章): Hotmailの成功
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